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原宿表参道の地価が急騰−投資ファンドなどの影響か

 原宿・表参道周辺地域の地価が急騰、目抜き通りの表参道では路線価から五倍近くも跳ね上がった価格が提示されており、バブル時代の取引価格に迫る勢いだ。外資、ファンドなどが同地区での売買を集中させていることが背景のひとつ。「実態の伴わない地価の高騰はバブルの再現。将来、この地域を疲弊させかねない」と危惧する声も。「バブルの時は大手マスコミがおもしろおかしく原宿を取り上げ、敬遠された。地価高騰でこうした動きが再燃するのは地元のためにならない」と地域関係者らは危機感をつのらせている状況だ。
 同地区では昨年前半から高値での売買事例が目立ち始めた。原宿駅前の売買では十数坪の土地の取引きでは坪約六千万円で売り出されたそうだ(現実の売買価格は明らかにされていない)。実勢価格とは現状取引されている相場価格。路線価というのは、金融機関などが土地価格の根拠として融資などの際、めどとする値段だ。このため実勢価格が路線価を大幅に上回れば、融資を見込んだかたちでの不動産売買が難しくなり、大手以外、地元業者などは手が出せない格好だ。
 地元の不動産業者の話によれば、現状の売り出し価格は明治通り沿いで坪三千万円前後、青山通りで三千五百万円、表参道沿いにいたっては坪五千―六千万円の価格がついているらしい。実際の売買価格は公表されていないが、価格が急激に上昇しているのは確かだ。これは、路線価と比べても少なくとも三倍以上。ロケーションがよければ、五倍近くのところもあるようだ。
 さらに多くの住宅がある五丁目地区でも坪八百万円―一千二百万円の価格帯になっている。昨年と比較しても少なくとも二倍以上。売買の中心は商業地区だが、住宅街であってもショップなどが運営可能な物件には買いが入っているらしい。
 都内で異常な値上がりを見せているのは銀座と原宿表参道地区の2箇所。すべての実態は明らかではないが、外資、日本のファンドが投資をこの地区に集中させているのが要因のひとつだ。
 竹下通りでは最盛期には約三百のタレントショップが出店、マスコミなどをにぎわしたが、バブル崩壊とともに撤退した。原宿は、もともと若者文化発祥の地。遊歩道を中心とした横丁は、雑多なファッションメーカーが混在、「原宿でひと旗あげよう」というエネルギーがこの街の原動力であった。事実、メジャーなブランドに成長したメーカーを多数輩出、それがまた原宿の求心力となった。時代のエポックなのかもしれないが、本来の「若者が独立しやすい」街づくりを望む声は大きい。(2005-08-01)

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原宿新聞編集長 佐藤靖博

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