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【人物登場】2010-02-24

アイリッシュを”五感”で体験 冨山 洋治さん(アイリッシュ・ネットワーク・ジャパン副会長)

 「派手なことはやれないが、運営の練度をあげ、来年につなごう」――アジアで一番古く、最も大規模な東京のセント・パトリックスデー・パレードは、来年で20周年を迎える。  その前年に当たる2010年は、プレ企画として知恵の出しどころ、レベルアップのしどころだ。

アイリッシュを”五感”で体験 冨山 洋治さん(アイリッシュ・ネットワーク・ジャパン副会長)

 今年は3月14日(日)の開催予定だが、当日はアイルランドのシンボルカラー、グリーンを身に着けて、約1200人が神宮前小学校に集合、表参道を行進し、5万人の観客を見込む。
 駐日アイルランド大使を先頭に、政府関係者や在日アイルランド人、留学生のほか、日本アイルランド基金、東京パイプバンド、さらには専修大、日大はじめ東京の各大学のブラスバンド、チアリーディング部なども”共演”する。
 「参加団体の励みになるように」と、2006年からはじめた“サブテーマ”は、今年は「食」。
 つまり、「せいぜい1、2時間のパレードだけでは、もったいない」と、“アイリッシュ・フーズ”の視点から、アイルランドの魅力をアピールする。
 名づけて「アイルランドフェスティバル2010 in 東京」。
この付帯活動の会場は、表参道ヒルズ本館地下3階のイベントスペース“オー”。観光案内、ミュージック・ダンスからアイルランドグッズや海産物、乳製品、紅茶、菓子類の販売など盛りだくさんだ。加えて、アイルランド産ビール、ウイスキーはじめ、試飲・試食なども多彩に企画されている。
 「アイルランドを“五感で味わえる”1日にしたい」という。

 セントパトリックスデーは、5世紀にキリスト教をアイルランドに広めた“聖パトリック”を讃える祭り。18世紀以来、海を渡った多くのアイリッシュ移民とともに、世界に広まった。
 日本でのパレードは1992年、六本木で始まった。在日アイリッシュの情報交換の場として、1987年に発足したアイリッシュ・ネットワーク・ジャパンに負うところが大きい。
 翌年から表参道に移り、その後は京都、仙台に広がり、横浜、名古屋、そしてアイルランド出身の小泉八雲(ラフカデオ・ハーン)が取り持つ縁で熊本、松江が合流、さらには沖縄、つくば・・・。
 各地とも全員がボランティアによる運営で、紆余曲折は避けられず、いま全国で9カ所。
 次に話が出ているのは、サッカーの2002年ワールドカップで来日したアイルランドチームが幕張でキャンプを張った縁で千葉、そして大阪、兵庫など。
 「20周年で10カ所以上には、なれそうだ」。
 となれば、発信元の東京でも、原宿表参道欅会はじめ協力団体や開催地元の住民との連携は、自らの課題としても、いっそう強く求められる。
 
 1961年6月、茨城県生まれ。県立龍ヶ崎一高から東洋大学部文学部に進み、史学科で西洋史を専攻。
 「卒論はフランス革命で、アイルランドは気にもとめていなかった」のだが、“はまった”のは、ウイスキーがキッカケ。1995年ごろ、乃木坂のバーで勧められたアイリッシュウイスキー「コネマラ」のスムーシー(滑らか)な味わいが、それまでの認識を一変させた。
 「歴史ものの映画も好き」で、サントラ盤のレコードをチェックしてみると、共通している音楽は、家族バンドの「クラナド」。琴線にふれるキーワードは、すべてアイルランドと分かって、一層のめりこんだ。
 ネットで調べて、アイルランド友の会に入り、パレードも見学、“オフ会”と呼ぶ交流会にも出て、親交を深めた。
 1998年、アイリッシュ・ネットワーク・ジャパンのボランティア募集に応募し、3年つとめて副会長に。
 本業は広告会社の企画営業マン。イベント企画やパンフづくり・宣伝のノウハウは、パレードや付帯イベントの運営にも、しっかりと生かされている。
 「悩んだらシンプルに戻ろう」と、モットーは「シンプル・イズ・ベスト」。そして「不撓不屈」。中学以来のテニスは、今も趣味として続け、毎週末はテニスざんまい。
 「初めからずっと独身」で、今も龍ヶ崎から電車を乗り継ぎ、1時間半かけて銀座の勤務先まで通う。

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