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【人物登場】2010-06-08

「スポルディング」をリノベーション 伊藤 博さん(スポルディングジャパン社長)

 1876年アメリカ生まれのスポーツブランド「スポルディング」が、日本で新たなスタートを切り、その“リノベーション”の先頭に立つ。

「スポルディング」をリノベーション 伊藤 博さん(スポルディングジャパン社長)

 1876年アメリカ生まれのスポーツブランド「スポルディング」が、日本で新たなスタートを切り、その“リノベーション”の先頭に立つ。

 130年以上にわたって、あらゆるスポーツシーンを支えてきた「スポルディング」は、日本では1970年代からランセンス事業で、大型ブランドに成長してきた。
 一方、アメリカでは2006年、大手アパレルのフルーツ・オブ・ザ・ルームの傘下に入り、同じグループの「ラッセル」などともあわせて、再編・強化策が進められてきた。
 スポルディングジャパンは2009年2月、アメリカ側100%出資で設立、今年1月にジャパン社がマスターライセンシーとなって各種契約を引き継ぎ、活性化に向けてライセンスビジネスの新たなスタートを切った。
 この事業移管の過程で、35社あったサブライセンシーは22社まで絞り、新たにアパレルの美濃屋、タキヒヨーを加え、5月には自転車の上尾工業も加わって現状では25社体制。さらに、7月からは、ジャパン社みずからがディストリビューターとなって、バスケットボールの輸入販売に取り組み、「第2ステージ」に入る。

 これら一連の再構築を「リノベーション」と位置づける。リノベーションは刷新、改善、修理、修復と訳されるが、建築の世界では「建物の経年に伴い、時代に合わなくなった機能や性能を、時代の変化にあわせて新築時の機能・性能以上に向上させる」ことを意味する。
 まさに、スポルディングにピッタリ。
 ライセンス市場が、ここ10年ほど縮小傾向にあり、苦戦つづきとはいえ、スポルディングの歴史は古い。日本でも有力ライセンシーと契約して、特にボリュームゾーンでは有数の知名度ブランドとなっている。
 その強みを生かし、「ずっとスポーツと生きていく」をコンセプトに、.好檗璽帖Χサ鮫▲乾襯姚ライフスタイル――の主要3分野を軸として商品力に磨きをかけ、単品ではなく、コーディネート提案に力点を置く。
 「どの分野にも成長市場はある」として、それに沿った開発とブランド全体としてのマーケティングを最重視する。
 これらの視点と手法は、「ブランド管理型でなく、プロデュース型」とし、若い頃から一貫して取り組んだ”垂直一貫型“のノウハウを、いまスポルディングに注ぎ込む。

 1948年10月、滋賀県守山市生まれ。同志社大学文学部新聞学科に学び、1972年、伊藤忠ファッションシステム(大阪)に大卒1期生として入社。企画コンサルティング会社と総称される商社系ソフト企業だが、何しろ発足2年目の新しい会社で、「何でも一人で組み立てた」。学生時代に広告研究会で活動したマーケティングの手法が、ここでは生きた。
 主な領域は、メンズ・スポーツ分野。
 人脈と活躍の舞台を飛躍的に広げたのが、1986年に大阪で発足した「スポーツフォーラム」。素材メーカー・商社からアパレル、小売、関連業種まで、およそスポーツ系ファッションビジネスに関わる全段階の中堅・若手が集い、”垂直型“の勉強と交流で切磋琢磨し合った。
 「学生(中堅・若手)は勉強、学費を出す親(会社役員)は交流」という“二重組織”にしたことで、「普通なら会えない人に、全部会えた」のが大きい。発足準備から参加し、代表幹事、事務局長を歴任となれば、なおさらだ。
 大阪から東京に転勤して12年。伊藤忠ファッションシステムでは常務まで務め、2005年4月にネクサスマーケティングを設立して独立。2009年2月にスポルディングジャパン社長。
 趣味のゴルフは、「練習せずに、道具でスコアを10縮める」。哲学は「アイディア&チャレンジ」「消費者の目」。ここでも、伊藤忠精神が生きている。

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