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揺らぐ自治体の”命名権ビジネス”、渋谷区でも宮下公園などに暗雲

揺らぐ自治体の”命名権ビジネス”、渋谷区でも宮下公園などに暗雲

　自治体が公共施設の命名権（ネーミングライツ）を企業などに譲渡・売却し、財政収入増をめざす”ビジネス”が、揺らいでいる。
渋谷区も、その例外ではない。区立宮下公園を「宮下ＮＩＫＥパーク」（仮称）とし、米国系スポーツメーカーのナイキジャパン（品川区）から年間1700万円（10年契約）を得るネーミングライツ基本協定を2009年6月に結んだものの、激しい反対運動に遭って着工は今秋までズレ込み、その挙句に10月14日にナイキ側が「名称は“区立宮下公園”のまま。新しい民間支援を提供」と、方針転換を表明。
　ナイキが4億円を投じてスポーツ施設などを改修・新設するという宮下公園の整備工事は、すでに10月12日から着工しており、今のところ中止の気配は見えていない。
　渋谷区側は「基本協定は生きている。ナイキ側から協定見直しの申し入れはきていない」と言う一方、ナイキ側からは公式表明とは別に、命名権行使もあり得るかのような微妙なニュアンスも漏れ伝わってくる。
　そのため、「”命名権行使せず”は、反対運動をかわす狙い」とみる向きが多く、今後も波乱が予想されている。
　一方、今秋11月下旬にオープンが予定されている、旧大和田小学校の跡地を開発した「渋谷区文化総合センター大和田」の命名権募集には、未だに応募企業がなく、難航している。施設全体の名称のほか、大小のホールやプラネタリウムといった個別施設に”小分け”した命名権も、同様に募集しているが、不況の影響は深刻で、いずれも名乗りはあがっていない。
　ユニークな事例として、公衆便所のネーミングライツが注目されたが、対象14カ所ののうち、今年9月に10カ所が決まって、ようやく累計12カ所まで到達した。昨年は5月に第�宜罎箸靴峠唾�区役所前公衆便所が「区役所前トイレ診断士の厠堂」として契約が成立、11月には表参道で、ようやく2件目。今年9月には原宿（神宮前1丁目）の東郷神社近くの公衆トイレはじめ９ｶ所を、管清工業（世田谷区）が「どかんせんとせいこちゃんの学べるトイレ」とし、秀和ビルメンテナンス（中央区）が千駄ヶ谷駅前トイレを「就活サポート”出会いのトイレ”」として、ようやく昨年からの累計で12カ所に至った。
　この間、代理店となって営業に動いていたサニーサイドアップ（渋谷区千駄ヶ谷）が辞退するなどの紆余曲折も表面化。年間10万円ほどの契約料だが、「臭い」「汚い」といったマイナスイメージがネックになって、渋谷駅西口、恵比寿西口は、未だに決まっていない。
　さかのぼれば、渋谷区は2006年、サントリーに、渋谷公会堂の命名権を年間8400万円・5年契約で譲渡、“ネーミングライツ先進自治体”とされていたが、来年9月30日には契約更新期を迎えることから、その行方が今から様々に取りざたされている。
（2010-10-21）

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