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食品ロスについて考える  「今日できることから実行を!」

食品ロスについて考える  「今日できることから実行を!」

 国際連合食糧農業機関(FAO)によると世界で生産される食料の3分の1は食べられることなく廃棄されている。その重さは世界で毎年13億トン。日本でも年間621万トンもの食料が食べられず廃棄されており、この量は世界の食料援助量の約2倍にも及ぶ。世界では、9億2500万人が飢餓で苦しみ、毎年7人に1人(310万人)の子ども達が命を落としている。

 食品ロスを世界からなくすため、廃棄されてしまう食材を集めて美味しい料理を作ったり、食材の無駄をなくすユニークな取り組みをしている人々を紹介しながら欧州5ヶ国を巡るドキュメンタリー映画『0円キッチン』が、農林水産省の後援で自主上映されている。現在70以上の地域で上映されており、10月16日の「世界食料デー」の月間に100か所での上映を目指している。

 地域との連携交流を積極的に取組んでいる国連大学サスティナビリティ高等研究所(渋谷区)では、10月16日の世界食料デーに合わせ、地球環境パートナーシッププラザと共催で、「0円キッチン」の上映会を開催。食品廃棄物や収穫後損失など、食料の生産・サプライチェーンをめぐる課題は、持続可能な開発目標(SDGs)の目標12「つくる責任 つかう責任」にも深く関係しているとし、参加者と感想を共有しながら、これらの課題について語り合った。

 会場からは、「食や料理に関心のない人にとっては良い映画だと思うが、逆に食や料理に関心のない人にとっては心に響かないのでは。その人たちにどう伝えていけば良いか考える必要があるのでは。特に食料問題に関しては、例えば肉が商品として陳列するまでの過程を知らない人が多いので、自分ごととして捉えることが難しい部分がある。興味がない人に興味を持ってもらうためには、面白いと実感できる取組や趣味に繋がることで巻き込んでいく必要があると思う」(大学3年生・男性)。
 「昆虫が未来の食料となるとの話が出てきたが、アレルギー疾患のある人にとっては、難しいテーマだ。ただ、映画では、廃材を使った料理の材料が明確になっているので、賞味期限のことを体験しながら考える上で良いと思った」(飲食店勤務・女性)。
 「飢えている子供が見たらどう思うだろうと思った。食料の再分配についても真剣に考える必要があると思う。また、日本の自給率についても、海外輸入の依存度を下げていかないと根本的な問題の解決に繋がらないのではないか」(無職・男性)。
 「料理を作りすぎるのが問題だと思っている。本来の健康を考えれば、食べ過ぎは体に良くないし、3食しっかり食べる必要はない。自分自身の体と向き合い、必要な時に必要な分だけ摂取すれば、余らせることはないと思う」(コミュニティ誌勤務・女性)。
 「映画から様々なメッセージが読み取れたが、日本で実践するのは難しいのでは。adjustが必要だと思った」(大学生・女性)。
 「映画で取り上げられた地域は西ヨーロッパが多かったが、東ヨーロッパ、他の国の状況はどうなのか。興味を持たせることは大切だが、実際にどう行動に移していくかが非常に重要。そこに大きな差がある」(国際協力関連事業勤務・男性)。
 「日本は、衛生面に関して非常にデリケートなので、実際に日本に落とし込むとなると課題が出てくると思う。例えば、廃棄食材を使った料理を食べて食中毒になった場合、誰が責任を持つかなどの現実的課題があるので、そこまで考えていく必要があると思う」(大学3年生・女性)などの意見が出された。

 また、ンブリ・チャールズ・ボリコ 国際連合食糧農業機関(FAO)駐日連絡事務所所長は、世界の食料の現状や食品ロス・廃棄が及ぼす温室効果ガス発生の影響などについて講演。今日からできることとして「食べ物を残さない」ことを実行するよう呼びかけた。
(2017-10-20)

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