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メディアの在り方について

 30年ぐらい前、GW大に在籍、ワシントンDCにいたころのことだ。ABCのテッド・カポという名物司会者の「NIGHT LINE」という番組があった。夜11時半から放送された人気番組であった。毎回CONTAVERSIALなテーマで対立する人物に登場してもらい、放送を通じて視聴者に真実を判断してもらうという内容。私の好きな番組のひとつで毎晩みていた。テッド・カポの冷静で客観的な姿勢も好感がもてた。
 ボブ・ウッドワード(ウォターゲート事件をカール・バーンスタインとともに報道。大統領の陰謀という名称で有名)がベールというケーシー元CIA長官との内幕ものを上梓した。ケーシーはなくなっていたが、奥さんが内容について反論。同番組は2人を登場させどこが事実と違うか話させた。奥さんがこの時は私は同席しなかったといったところ、ウッドワードはあの時ご自宅のプールべりで3人で話したじゃないか。奥さんも当然聞いていたと軽く答えていた。日本の番組のように口角泡を飛ばして論争するというよりは静かに指摘していた。判断するのは視聴者。どちらが嘘をついてるのかも視聴者の判断、もちろん真実はわからないが、その冷徹な報道姿勢に感銘した。
 さらにあるときはパレスチナ人とユダヤ人5人ずつぐらいが同席、番組で論議させた。両者とも子どもたちが死んでいくのは見たくない。紛争を終わらしたい。パレスチナ人は米国政府は信用できないが、この番組をみている視聴者は理解してくれるはずだと訴えていた。ある意味米国政府ができないことをこの番組が担っていた。ヘイトクライムなどに揺れるいまの米国をみていると今昔の感はあるが、当時はそういうフェアな良識があった。
 先日池上彰氏の「ニュースそうだったのか」という番組をみていた。アフガニスタンから米軍が撤退というくだりのなかでソ連がアフガンに侵攻、タリバンが抵抗・撤退させたが、内乱が勃発、パキスタンが最新兵器をもって支援していたという話があった。普通に疑問に思うのだが、あの貧しいパキスタンが最新兵器を持っているのだろうか。タリバンも武器もなくソ連軍を追い出せたのか。米国が裏でタリバンに最新兵器を供与していたという事実はなかったのか。ウサマビン・ラディンも米国から武器を供与、ソ連軍と戦っていた。
 さらに日本の借金1200兆円も海外資産が1200兆円あるから問題はないという話があったが、本当にそうなのだろうか。いまは個人の金融資産がコロナ下でも1900兆円で最高額らしい。国民は全体としたら金持ちだが、政府は借金まみれ。国が支払う子どもたちへの年金もどんどん減らされていく。昔は国債は建設国債しか発行しないという骨のある政治家がいたがいまは赤字国債を垂れ流し、日銀が株をかうといういびつな図式なのだ。5W1Hなど文章の書き方があるが、日本のメディアにかけているのはなぜという問いかけだ。受験勉強の延長のような解説で本当に子どもたちに明日が見えるようになるのだろうか。。
 (2021-07-06)

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