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コミュニティは再生できるか 渋谷区商店街振興の現況

コミュニティは再生できるか 渋谷区商店街振興の現況

 「毎月第1、第3水曜日、500円以上の買い物をした人先着50名に焼肉のタレをプレゼント――」

 渋谷区14ヶ所の食肉店が区の支援のもと、月2回先着順で景品をサービスするようになり3ヶ月が過ぎた。砂糖、卵、野菜のほか、焼肉のタレやカレールーなども配られるこのサービス、企画した渋谷区の狙いは、出生率全国最低から抜け出すための「暮らしやすいコミュニティ」構築だ。
 千代田区、中央区など他の都心区に較べ多くの生活者人口を抱える渋谷区だが、ここ20年で肉、魚、野菜など生鮮食品を扱う個人商店数が3分の1に激減。さらに人口の割にスーパーマーケットが少ないことも以前から指摘されており、生活必需品購入のため、世田谷など区外のスーパーに足を運んでいる区民も珍しくない。
 区では全国自治体最低の合計特殊出生率の背景に、こうした生活環境の不備があると見て近年改善に着手。なかでも地元商店会の振興が欠かせないとの見地から、広告宣伝費や景品費の一部を財源に、冒頭のような施策を今年8月より開始した。ゆくゆくは生鮮食品全般、さらに電気店などにも補助拡大する方針だ。
 11月2日までに7回を実施し、区では「徐々に浸透している」とコメント。だが店側の声を拾ってみると、必ずしも当初期待されたような効果は上がっていないところもあるようだ。サービス実施店のひとつである神宮前の食肉店では、過去7回の景品サービスで得られた効果について、「残念だが、集客アップとはほとんど関係がなかった」と苦笑いの表情。本来「500円以上先着50名」の景品だが、金額に関係なく配っても掃けるのは半分。渡す相手も、従来からの馴染み客にほぼ限られていたという。
 「(サポートには)個々の商店にも自己努力も欠かせない」とは区側の見解。だが63歳でこの道数十年の店主に「今でもうちのコロッケが、値段や味でコンビニに劣るとは思わない」と言われれば納得するほかない。そこで「どのような形でサポートしてもらうのがベストか?」と尋ねてみると、しばらく考え込んだ店主からは、「やはり、一番手伝って欲しいのは宣伝だ」とのはっきりした答えが返ってきた。

(2006-11-02)

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