特集/コラム

【人物登場】2010-03-19

カメラ片手にボランティア 原田 京子さん(写真家)

 カメラ生活20年の記念展「THANK YOU」は今年2月、動物保護のNPO法人ARKとコラボで、表参道ヒルズのャラリーにおいて開催。ARKへのボランティア参加は、生きがいでもある。

カメラ片手にボランティア 原田 京子さん(写真家)

 ファッション系専門学校のエディトリアルデザイン科の2年間で、写真の基礎は学んだが、仕事にしようなどとは夢にも思わなかった。かといって、何がやりたいのかも分からず、何となく入った広告会社での仕事は経理。
周りはみんな4大卒で、面白いはずもなく、この会社は1年と決めて、その通り退社した。あとはアルバイトをしながら、自分探し。
 1年半ほど経ったころ、たまたま知り合ったカメラマンが、アシスタントを募集していて、「写真なら、お婆ちゃんになっても、極められるか」と思い、そのまま弟子に。徒弟制が頭をよぎって、「無給なら、怒鳴られないだろう」と、この辺りは、しっかり計算した。
 他にアルバイトを持って生活を支えながら、「早くフリーになりたい」の一念で4年間、やり通した。もっとも、1年経ったころから、自分で写真の仕事もやり始めていて、「怖いもの知らず」と、師匠には呆れられていたが・・・。
 生まれ育った川崎の実家を事務所に、山あり、谷ありのカメラ人生をスタートさせ、「生活していける自信なんて、考えたこともなかった」が、それでもNHKをはじめ大口のクライアントも付き、表参道に事務所を構えるほどには成功させ、ニューヨークADC入選とか、賞もかなり貰った。

 転機は、仕事で知り合い、とても惹き付けられた本田美奈子さんの死。歌で人を幸せにし、世界平和にも貢献したい、という彼女の志に寄り添って、これから一緒に仕事をして行きたいと思っていたが、これから世界の本田美奈子になろうかというときに、白血病で早逝してしまった。
 ここで人生観、仕事感が変わった。それまでは、営利目的でカメラを手に生きてきたが、「やれる時に、やりたいことを、自分らしく、やっておかなくては・・」。
 何かの雑誌で、動物保護に取り組んでいるイギリス人女性を知った。それまでは、動物保護なんて胡散臭く、周りに迷惑をかける人たち、と勝手に思い込んでいたが、すごく冷静そうで、知的な姿勢に魅かれて電話した。
 動物シェルター運営のNPO法人「アニマルレフュージ関西」(ARK)を主宰する、その女性、エリザベス・オリバーさんには、大阪・能勢まで会いに行って、意気投合、写真も気に入ってもらえた。それからは犬、猫といった、シェルターの動物の写真が、ボランティアで増えていった。「一緒に写真展もやりたいね」という、共通の思いは、それから4年後の2010年2月、表参道ヒルズでのコラボ写真展「THANK YOU」の成功で結実した。
 年内には「大阪と熊本でも写真展を」。そして今、神宮前のギャラリーからも、話がきている。みんな、何故か魅かれあって・・。

 神奈川県生まれの“アラフォー”世代。
 広告代理店のOLを経て、広告写真家のアシスタントに入り、1990年に独立。広告、雑誌、ファッション、音楽など多方面で活躍。旅、ドキュメンタリー、映像の分野にも力を入れている。
 スクラッチで3枚だけ買ったうちの1枚が、100万円の当たりくじ。これで初の個展を、銀座で開催した”強運“の持ち主でもある。座右の銘は「因果応報」。「紆余曲折があるのはつらいが、それが生きていると感じる時」でもある。
 趣味は車の運転と、ブラリ出かける海外旅行。「これまでは、あまり結婚は考えたことがなかった」という。
 

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