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【エリア特集】2010-04-22

落書きビルはアートで変身 西岡 生石さん(アートデザイナー)

 通称246、青山通りを挟んで青山学院大学の向かい、アミー・ホールの外階段あたりにペインティング中の作品は、5月の連休明けには完成し、スプレー落書きに悩まされ続けたビルが、“アートのビル”へと変身する。

落書きビルはアートで変身 西岡 生石さん(アートデザイナー)

 絵柄は、ちょっと見には水滴のような大きなマークだが、水滴や涙なら、下が大きく、上が小さい。
 だが、この作品は、その逆。大きな感嘆符(びっくりマーク)のような絵柄が、いくつも並ぶ。下から上へと、湧き上がるような「気分の高揚」をイメージして表現したものだという。
 この高揚感の源は、隣接するこどもの城の前で、ひときわ存在感を発揮している岡本太郎作「こどもの樹」。
 毎朝、表参道から渋谷方面へと歩き、この「こどもの樹」に見送られながら、”仕事場“に入ることによって、保たれる。
 製作中の外階段では、艶ありの黒の大きな縁取りの中に、同じく艶ありの白や青、赤が入るが、「決してカラフルというわけではない」という。階段も含めて「ひとつの絵にしたい」と意欲を燃やす。

 最上階まで、落書きだらけだった外階段そのものは、まもなくサンシャインカラーで生まれ変わる。
 このほか、屋上の防水工事や階段の“踏みしろ”塗装が、大勢の職人たちの協力を得て完成すれば、全体がひとつの芸術作品として仕上がる。 
 落書きをアートで退ければ、きれいな街並みにできるという“法則”は、5年ほど前、千葉県の柏市で絵を描いていた頃、経験した。落書きに業を煮やした美容室の夫婦に頼まれ、シャッターにアートを描いたところ、それ以後、スプレーを使った“悪さ”は、ピタリと止まったのだ。
 その様子を見ていた、ビル管理に責任を持つ建設会社から後日、依頼が来た。そのひとつが今回のアミー・ホールのケースである。
 表参道から渋谷に向かって歩くとき、「ホーっと目を引く、注目の絵を描いている」という自負心がのぞく。それが“防犯”にもつながるとなれば、なおさらのことであろう。

 西岡生石と書いて、「にしおか・しょうせき」と読む。レッキとした本名なのだ。
 1979年3月沖縄県生まれ。3歳から茨城県で育ち、小学校1年から高校卒業までは、千葉県柏市。その後、東京・目黒のインテリアデザインの専門学校、ICSカレッジ・オブ・アーツ(3年制)で建築と彫刻を学ぶ。
 身長180臓体重70舛琉き締まった体躯は、バレーボールで鍛えた。沖縄出身といえば、なるほどそうかと思える、ホリの深い美男子は4年ほど前、交通事故の巻き添えで死線をさまよった。療養後は、友人・知人にも支えられ、「一度は死んだのだから」と、腹をくくって創作活動に励む。
 そして、「この創作が完成したら、また、アルバイトをしながら、次に描くところを探したい」と、静かに意欲を燃やしている。

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