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【エリア特集】2010-04-30

「SUPER TOKYO」写真展が評判 レスリー・キーさん(フォトグラファー)

 「SUPER TOKYO」の写真展(4月23日〜5月7日 と、その写真集が評判を呼んでいる。

「SUPER TOKYO」写真展が評判 レスリー・キーさん(フォトグラファー)

 「写真を通して、たくさんの人に“サンキュー”を伝えたい」という思いで取り組んできた。13歳のときに亡くした母親が39歳だったこと、自身が今年4月で39歳を迎えたこととも掛け合わせて、おかげで、写真家として世界的に活動できるまでに成長できたことへの感謝の思いが込められている。
 日本は「すべての原点」という。シングルマザーとして育ててくれた母親を13歳で亡くした後、生活費と妹の学費を稼ぐため、シンガポールの日系工場などで働いた。そこで出会った日本の音楽、とりわけユーミン(松任谷由美)の音楽が、母を亡くした悲しみを癒し、希望を与えてくれた。
 その思いを「ユーミンの声は、私のお母さん代わりでした。SUPER TOKYO の歌詞は、私の一生の宝物です」と書いて展示会場に掲げた。
 そのユーミンも「ふれ合いがなかったら その街は意味を持たない その彼が人生で出会った 愛すべき人たちが、そこには大勢暮らしている 生きているTOKYO」の歌詞に込めて、労苦をたたえている。

 前回の写真集「SUPER STARS」では、300人を撮った。今回はそれ以上のインパクトを、と考えて、東京で輝く1000人を撮影しようと、16カ月かけて取り組み、白黒で700点の作品に仕上げた。被写体は有名人から裏方のスタッフまで、あらゆる人々の内面を表現しようと、全員がヌード姿。そして、写真とグラフィックとの融合を目指して、世界に通用するハローキティの愛らしいキャラクターとのコラボレーションというのも、大きな特徴点だ。「ヌードとハローキティのコラボは、革命的なバイブレーション」と表現する。
 そして、テーマは「愛・平和・世代」。
 作品には、妊婦や子どもたちも、数多く登場する。展示写真を編集した今回の写真集は、売り上げの一部を、国連人口基金が実施する「お母さんの命を守るキャンペーン」に賛同して、生命の源である世界中のお母さんを守るために寄付する。13歳で母親を亡くし、自分のお母さんに伝えられなかった感謝を、世界中のお母さんに返していきたいと考えたから。
 写真を通して得た多くの人たちからの愛情と信頼が、自分の財産なのだから、一生をかけて返していきたい。その恩返しのひとつが、チャリティプロジェクト。スマトラ沖地震津波被害者へのチャリティ、お母さんの命を守るキャンペーンは、ひとつにつながっている。
 「SUPER TOKYO」の写真展は今後、故郷のシンガポールから上海、ニューヨーク、さらには世界中へと持って回るのが夢だ。

 LESLIE KEEは本名。1971年シンガポール生まれ。1993年に来日して、1997年東京ビジュアルアーツ写真学科卒業。1998年からフォトグラファーとして、ファッション雑誌を中心に活動を開始し、2002年から拠点をニューヨークに移してジェド・ルート・エージェンシーに所属。2004年に自身がクリエイティブディレクター兼発行人となって、雑誌「SUPER」を立ち上げる。2005年には、前年12月に発生したスマトラ沖地震による津波の被害者救済に向けて、アジアのアーティストとのコラボレーションによるチャリティ写真集「SUPER STARS」の制作を始める。東京に再び拠点を移し、super sonicに所属。
 2006年には、2年間で10都市302フォトセッションをこなした「SUPER STARS」の300人以上のアーティスト撮影が終了、640ページのハードカバー写真集として発売し、話題を呼んだ。同時に、表参道ヒルズで11月11日から9日間のエキシビションも開催した。
 哲学は、「人生は夢を持ち続けること」「年とっても挑戦」。東京では気に入った、表参道に住む。そして、日本の銭湯を「裸の付き合いでコミュニケーションのとれる、素晴らしい日本の文化」と、たたえてやまない。

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