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【人物登場】2010-07-01

”居酒屋グッズ”と新商品開発で人気 田中 秀子さん(博水社社長)

 非売品だった販促グッズを、要望に応えて発売したところ、家庭で“居酒屋ごっこ”を楽しみたいというニーズにマッチして、人気を呼んでいる。

”居酒屋グッズ”と新商品開発で人気 田中 秀子さん(博水社社長)

 販促グッズというのは、酒類を“割る”清涼炭酸飲料「ハイサワー」の主力引先である飲食店や居酒屋向けの吊り下げ旗、ノボリ、提灯、専用タンブラーなど、一般には入手できない、ユニークな“居酒屋グッズ”のこと。これに、新開発のTシャツが加わって、全13点。
 「あれが欲しい」という声は、前からあったのだが、自宅で晩酌を楽しむ“家飲み派”が86・2%といった調査データが出るなど、社会環境の大きな変化に後押しされ、加えて東急ハンズからの要請もあって、6月中旬から非売品の一般販売に踏み切った。「ハイサワー誕生30周年で、初めての試み」は、「おかげで21人しかいない社内は、大パニック」に陥ったが、東急ハンズ池袋店・渋谷店で好調推移。
 余勢を駆って東急ハンズでは、新宿店でも6月30日から一般販売に乗り出している。これら各店とも、店頭キャンペーンの先頭に、社長自らの姿がある。

 社会情勢の変化といえば、2009年には、家庭内でも楽しめる“焼き鳥焼き器”や菓子メーカーの家飲み用おつまみスナックチーズがヒット、たこ焼きパーティ(通称たこパー)が関東でも流行するなど、家飲みブームが浸透。
 昨今は、ミクシィの一人飲みのコミュニティには1400人以上が参加とか。自宅の部屋で飲みながらネット上でのコミュニケーションを楽しむ「ウェブ飲み会」(オンライン飲み会)も浸透中という。
 となれば、「♪わ・る・な・ら・ハイサワー♪お客さん、終電だよ」のCMで大ヒットした看板商品「ハイサワー」を持つ博水社としても、それなりの対応が必要。
 ”居酒屋グッズ“の一般市販もさることながら、新商品の研究・開発に拍車がかかる。女性目線の「ダイエットハイサワー」に続いて、いま、力が入っているのが“カロリーオフ・プリン体ゼロ”がウリの「ハイサワー・ホップシリーズ」3種類。「ホップとレモンで作ったすっきりテイスト」を特徴に、”飲みきりサイズ“にしたり、売り方にも工夫を凝らす。

 1960年東京生まれ。家業の手伝いをして育ち、高校卒業後は、ニューヨークのバレエ学校に進むことが決まっていたが、腰を痛めて断念。山脇女子短大の英文科へ。「男きょうだいがいたら、お兄ちゃんお願いね、とか言って自分の好きなことをやっていたはず」だが、現実は「妹がひとり」。
 そこで、卒業後の1982年に、父の博水社に入社。清涼飲料水や酒類の基礎知識がなく、東京農大の醸造学科に、「社会人ワクで入れてもらって」無事卒業。「聞くは一時の恥」の精神は、若いころから一貫しており、創業80周年の2008年4月に、3代目社長に就任して以降も「皆さんに、何でも教えてもらっています」。
 社長業は「今年で3年目に入ったばかり」だが、「あと18年、つぶさなかったら会社は100周年」と、明るく元気に、先頭に立つ。2児の母。
 「仕事じゃないから、趣味なんでしょう」という動物愛護運動に熱心。 NPO法人「アリス日本動物生命尊重の会」のメンバーとして、飼い主のいない犬や猫を保健センターから引き取り、手入れもして里親や嫁入り先を探すボランティア活動が、ライフワーク。本当の趣味は「ジャズ」なのだ。

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