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【人物登場】2010-09-22

エンタメ小説「会社再生ガール」で中小企業の社長を応援 田中 伸治さん(経営コンサルタント)

「会社再生が面白いほど分かるビジネス・エンタメ小説」と銘打った著書「会社再生ガール」がジワジワと、売れてきている。過剰債務に苦しむ社長を救った女性コンサルタント相馬明日美を主人公とする会社再生物語。優しく強い、美人のヒロインが「社長さん、あきらめないで!」と呼びかけている。

エンタメ小説「会社再生ガール」で中小企業の社長を応援 田中 伸治さん(経営コンサルタント)

 思わず、あの大ベストセラーとなった「もし高校野球の女子マネージャーが、ドラッガーの『マネジメント』を読んだら」が頭に浮かんだが、「企画を立ち上げたのは、こちらが先」と、本人はゆったり。以前から、ホームページのトップページで、難しい企業再生の話を、ストーリー建てて紹介していたので、コンテンツはあった。出版プランの最初は“オムニバス方式”だったが、いやむしろ短編で、逆に長編でなど、修正を重ねて、結局は今春の発売となった。
 書店では、経済・経営の専門書のコーナーに並ぶ。いわば、地味な扱いだが、徐々に売れゆきを伸ばし、「1万部売れたらヒット」とされる出版業界にあって、「どうやら到達しそうなペース」と、出版元の星月社では自信を見せる。ネット通販大手では、企業・再生の分野でトップクラスに入っている。
 本を出したいと思ったのは、昨年の春ごろ。「企業再生にスポットが当たっていたころ」でもあったが、再生できるのか、つぶれるのか、誰に相談したらよいのか、「知識としては頭にあっても、自分の会社に当てはめるには、どうしたらよいのか」が、最大のポイントなのだ。「事業は生き延びさせたが、経営者を救えなかった」という、自身のトラウマから脱するためにも、「何よりも、諦めようとしている中小企業経営者を励まさなくては」の思いが強い。

 「温泉に入ったり、エステに行ったり、銀座で飲んだり、同僚をヘッドロックしたり・・でも、仕事はチャンとします!」という女性コンサルタント・相馬明日美(そうま・あすみ)の会社再生物語。敵対する美形の女整理屋・不破雨月との激しい攻防や闇金融の変態チンピラによる妨害などを乗り越えながら、「温泉旅館の再生」を実現していく、というストーリーだ。
 デューデリジェンス(財務調査)やリスケ(返済条件変更)といった“横文字“から、民事再生、事業承継など、専門的なスキームにも、しっかり解説を盛り込み、「ストーリーの中で、納得しながら読める」のも大きな特徴となっている。
 「すらすら読めて、読みごたえもある、企業再生の専門家が描く本格派のエンターテインメント小説」「会社のピンチを救う実践的スキームが満載」といったキャッチフレーズが印象的。
 「女子大生会計士の事件簿」の表紙イラストなどで知られる久織ちまきが描くイラストが効果的。「カワイイ」「モエ系」といった評判で、読者からは「同じキャラクターで、違う物語も読んでみたい」の声も出ている。
 さらには「映像化のオファー」もあって、希望の多い“続編”の企画はどうやら、あまり遠くなさそうだ。

1968年神奈川県鎌倉市生まれ。日大法学部中退。大手自動車部品メーカー、新興上場企業を経て、環境系ベンチャー企業にCFO(最高財務責任者)として入社。1年後、新規事業に失敗して行き詰まったが、1カ月でスポンサーを探して民事再生法の適用を申請。この時期には珍しい「プレパッケージ型民事再生」を成功させた。しかし、このとき、再生できたのは“事業”だけで、経営者は膨大な借金を抱えて病に倒れ、「中小企業の経営者を、結局は救えなかったことが“トラウマ”として残った」という。
 これが転機となって、真の意味で中小企業の経営者の力になれるコンサルタントを志して、2006年財務系コンサルティング企業に入社。主に企業再生、M&A、資金調達のコンサルティングを担当、入社2年半で常務に就任して企業再生、財務戦略の各部門を統括。
 2009年6月、企業再生のコンサルティングを専門とするT&Tコンサルティンググループを設立して独立。以来、「会社と中小企業経営者の再生」を理念として尽力し、数多くの実績をあげている。
 「人生は心に描いた通りになる」がモットー。休日は趣味のマウンテンバイクで毎週、鎌倉の自宅から湘南海岸へ、そして温泉旅行でリフレッシュする。

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