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【人物登場】2009-11-23

原宿に笑顔と元氣を 島村 朋通さん(原宿表参道欅会理事)

 人呼んで「イベント仕掛け人」。優しい物腰のイケメンが、実は3つの顔を持つ。

原宿に笑顔と元氣を 島村 朋通さん(原宿表参道欅会理事)

 その1は「主催者としての顔」。その2は「広告代理店としての顔」――つまりはスポンサー・資金集めのこと。3つ目は「制作者としての顔」、いわば、総合プロデューサーといったところだ。
 1と2は、どちらも共通していて、商店街振興組合原宿表参道欅会の情報部会担当理事として、イベントの立案、遂行に携わる立場からすれば、当たり前といえば、当たり前の役どころ。
 ただ、3つ目の制作者としての顔は、自らの会社であるディーゴの代表として、いかに仕事とはいえ、イベントの企画から根回し、実施、後始末までの一切を取り仕切り、「縁の下の力持ち」として支え続けなければならない、人知れぬ苦労の多い顔といえる。

 いま、スーパーよさこい、ハローハロウィーンパンプキンパレード、そして復活成った冬のイルミネーション事業・・・、原宿表参道のビックイベントには、すべて深く関わり合う。
 実績を積めば、積むほど外部からもアテにされる。東京オリンピック招致委員会からは招致運動推進のための表参道パレード、外務省からは日韓交流踊りのパレード・・・。そのつど、理事会に諮り、スーパーよさこいで培ったノウハウを注ぎ込む。それは何も、イベントの目に見える部分だけではない。 というよりも、裏方に徹しての凄腕の発揮、と評価されている。

 その極めつけはこの12月、11年ぶりに復活させる表参道のイルミネーション事業。1988年を最後に、惜しまれつつ姿を消したイルミネーションは、不況、一部の反対、政治的な圧力・・・、様々な要因が取り沙汰されスポンサーが降板、今回の復活には、スポンサー探し、資金調達が不可欠だった。実行委員会方式で取り組む事業だが、今回は中堅・若手の4人衆が、行動力を発揮した。
 総事業予算は約2億円。多方面からの協賛・協力を仰ぐとはいえ、その大半を経済産業省からの補助金と、総合旅行業であるH・I・Sからの協賛金でまかなう。
 しかも、“新法”に基づく「活性化事業計画」が、経済産業省からも公式に認定されたことから、来年度は総事業費の3分の2が、補助の対象になる見通しという。さらには、イルミネーションにとどまらず、花と音楽イベントの実施、中国個人観光客誘致の取り組みなど9項目の「原宿表参道の個性を活かした職住のバランスの取れた地域活性化事業」への展望を広げている。資金の裏づけがあってこその事業計画という鉄則が、ここでも生きている。

 経歴は多彩だが、社会人としての大半は、企業、商品の宣伝から転じたイベントプロデュースで占められている。原宿表参道との本格的な関わりは、「スーパーよさこい」の仕掛けから。
 坂本龍馬の故郷・高知に生まれた縁もあって、「よさこい踊り」を誘致したのが2001年。翌年からの高知県物産展と合わせて「スーパーよさこい」と呼んでいたが、昨年から高知の物産展は、全国から集まる「じまん市」へと発展させた。これに中小企業庁の「地域力宣言」プロジェクトも加わり、世に言う「霞が関埋蔵金」も導入して、大盛況。
 来年は「スーパーよさこい10周年」で、しかも「明治神宮鎮座90周年」の節目の年。徳島の阿波踊りから派生した、ふるさとの「よさこい踊り」は、「スーパーよさこい」として文字通り全国版にする。さらには海外からも多く参加する国際版へ、というのが、2010年の自らに課したテーマである。

 1967年9月高知県生まれの42歳。妻、ふたりの男の子と世田谷区に在住。県立小津高校を経て、東京・恵比寿のバンタンデザイン研究所でマーチャンダイジング科、デザイン科に学ぶ。1992年、神宮前交差点に事務所を構えてから、原宿表参道の定着。ディーゴ代表で、2005年から原宿表参道欅会の理事。座右の銘は「よく遊ぶ」。異業種交流や子供たちとの交流を通じて、人脈の広がりや客観的な眼を養うことの重要性を意味している。

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