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臨海副都心に新ふ頭  世界最大級のクルーズ客船も寄港可能に

臨海副都心に新ふ頭  世界最大級のクルーズ客船も寄港可能に

 東京の海の玄関口である東京港。首都圏4000万人の生活と産業を支える物流拠点であると共に、クルーズ客船の拠点港として、国内外から更に多くの来訪者を誘致し、大きな経済効果とMICE・国際観光拠点化を目指し、臨海副都心において新たな客船ふ頭整備が進められている。

 都は25日、この新客船ふ頭のターミナルビルの概要を発表。世界最大級のクルーズ客船にも対応できるよう、臨海副都心の「船の科学館」の先の海上に整備する方針を示した。
 ターミナルビルは、最高高さ約35メートルの鉄骨造4階建て。特徴的な屋根は、「海の波」・「船の帆」・「日本の伝統的な屋根のそり」をイメージしたデザインで、環境にも配慮し太陽光発電に対応。内装は木材を多用し、自然採光による広々としたロビー空間を整備する計画だ。

 都港湾局によると、近年、世界のクルーズ業界は、客層を広げるため、客船を大型化し、全旅行費が一泊一万円程度となるリーズナブルな商品も提供。この結果、クルーズの大衆化が進み、1990年から20年間で、世界のクルーズ人口は4倍に増加。アジア地域においても、クルーズ市場は急成長しており、今後、この傾向は続いていくと予想している。
 そのような中で、現在、東京港の客船を受入れている晴海客船ふ頭を利用するためには、その手前にあるレインボーブリッジの下を通過しなければならず、レインボーブリッジは、海面から高さ52mのため、これまで旅客定員数が1000人規模の7万tクラスの客船が寄港。しかし、客船の大型化に伴い、レインボーブリッジを通過できない3000人規模の14万tクラスの客船も入港するなど、晴海客船ふ頭を利用できないサイズのクルーズ客船が急増しており、世界最大級の客船となると、旅客定員数が5000人規模で22万tクラスになるという。

 そのため、臨時的に大井水産物ふ頭で対応しているが、同ふ頭は、貨物ふ頭で土日祝日しか対応できず、入港の度に通関や荷物のピックアップ等のための設営が必要となり、周辺の公共交通機関が整っていないことなどから、新客船ふ頭の整備が必要となった。
 また、東京港は、国内外とのアクセスの良さ、観光資源や人口の集積など寄港地・発着港ともに適した条件を備えていながら、横浜や博多、神戸など他の主要港に比べ、クルーズ客船の寄港実績が少なく、魅力が十分に伝わっていないのが現状だという。一方で、マイアミ・コンベンションへの参加や、入港料や岸壁使用料など入港にかかる公費を減免する「客船インセンティブ制度」、水先料金・曳船料金等入港にあたって必要な経費に対して補助する「東京港等客船誘致促進補助制度」の導入などにより、これまで少なかった外国籍クルーズ客船の寄港が増加してきているとした。
 そこで、レインボーブリッジの外側にあり、交通の利便性に優れ、観光やショッピングに便利なことなどから新たな玄関口として臨海副都心を選定。2020年のオリンピック・パラリンピック大会には間に合うように整備する計画だ。引き続き、「客船インセンティブ制度」や「東京港等客船誘致促進補助制度」を実施し、各種営業活動と連動した東京港の重点的なPRを展開するなど、クルーズ客船誘致を推進していく方針。2020年に113回、2028年に280回の入港回数を目指している。

 舛添知事は、「(一隻に)何千人と乗船するので飛行機数機分の乗客人数となる。場合によっては、船をホテルとして使用することも可能で、ホテルの部屋が足りない場合の対策にもなる。また、大型クルーズ船の乗客は、基本的に富裕層が多いので、買い物などの消費が期待できるなど相当な経済効果があると思う。同時に、クルーズ客船が、頻繁に発着・寄港することで「水の都」としての情報発信できるので、東京港の魅力創出と集客に繋がり、かなりの相乗効果が期待できると思う」と述べた。
 晴海客船ふ頭は、1964年の東京オリンピック開催に合わせて整備。20世紀後半を代表する豪華客船「クイーンエリザベス2」が寄港するなど首都の玄関口として多くの客船を受け入れてきた。ピーク時は、年間200回の寄港があったという。新ふ頭開港後の利活用については検討中だという。

(2015-12-26)

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