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青山・旧こどもの城跡地の活用白紙に  広尾病院現地建替えで

青山・旧こどもの城跡地の活用白紙に  広尾病院現地建替えで

 東京都が、老朽化が進む東京都立広尾病院(渋谷区)を現地で建替える方針を明らかにした。それに伴い、青山の旧こどもの城跡地への移転が取り止めとなり、同跡地の活用が白紙となった。

 昨年設置した新病院の機能や規模などを検討する有識者検討委員会が今年7月、「移転せず現地での建替えが望ましい」とする意見書をまとめたことと併せ、都としても、病床の利用率の減少により病院規模を拡大する必要性のないことや、併設する看護学校をローリング工法で建設することができることなど病院運営をしながら建て替え工事が可能となるとする病院整備の前提の見直しを行ったことを踏まえ、「現地建替え整備が適切」との判断をしたという。

 都がまとめた「広尾病院の整備基本構想案」の新病院の整備方針によると、都心部唯一の基幹災害拠点病院として、首都直下型地震など災害に備え、災害時の医療継続性を確保するため、免震構造を採用しライフラインを強化することをはじめ、現行478床の病床規模を400床に減らし、災害時には800床に一気に増床できるような整備をする。また、災害時に多数の重症外傷患者の発生が予想されるため、平時から複数の診療科で一体的な治療ができる体制を整えておくほか、ICTを活用し、島しょの患者の療養状況を共有するなど、離島のハンデを感じさせない円滑な診療システムを構築する。地域医療への貢献として、患者の症状によって他の医療機関で対応が困難な場合には、その要請に柔軟に対応できるよう「地域貢献病床」を新たに30床程度設けるとしている。

 広尾病院の現在の建物は、昭和55年に完成したが、近年、建物の老朽化などが問題となり、平成26年から改築の検討を始めた。平成27年4月に国から国有地(青山の旧「こどもの城」跡地)売却の打診があり、平成28年度予算に用地取得費等を計上。平成28年8月に有識者検討委員会を設置し、新病院の役割や機能、規模などを検討していたが、新病院の整備に関する当初の前提事項が変化したため、平成29年第一回都議会定例会において用地取得費を減額補正していた。

 小池知事は、今後の青山の旧こどもの城跡地の活用について、「旧こどもの城は、青山通りという目抜き通りに面し、背後には旧青山病院の跡地がある。こどもの城と旧青山病院の跡地を合わせると、2.7ヘクタールを超え、都心の一等地でまとまった土地となる。周囲の都有地と一体的な利用を行うことを考えると、そのポテンシャルや財産的な価値も高まっていくであろう。今後、活用の可能性を検討していきたい」と前向きな考えを提示。旧こどもの城跡地を管理する内閣府子ども子育て本部は、今後の同跡地の活用について「東京都が実施するパブリックコメントの取りまとめなどの動向を見守り検討していきたい」と語った。
(2017-09-30)

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