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「文化・交流」の強化が国際的地位向上に影響   世界の都市総合力ランキング

「文化・交流」の強化が国際的地位向上に影響   世界の都市総合力ランキング

 今年の「世界の都市総合力ランキング」で、東京都が3位を維持し2位との差をさらに縮めた要因の一つに、美術館や博物館数や海外からの訪問者数など「文化・交流」の分野での評価が高まったことが挙げられる。国を挙げたインバウンド誘致や文化政策が功を奏してきているようだ。

 特に先の通常国会で、文化芸術振興基本法の一部を改正して成立した文化芸術基本法は、対象枠を広げ、国の文化政策の基本方針を文化芸術自体の「振興」から「活用」へと大きく転換する法改正となった。各国でも力を入れている「パブリックディプロマシー」と併せ、今後、国の成長戦略を推進する上で重要な政策になってくるだろう。

 東京都内では、日本の伝統文化の拠点である上野エリアや、ポップアートの拠点の六本木エリアなど各エリアにおいて、地域色を生かした活動が展開されている。特に、上野エリアでは、上野公園を中心に国を代表する文化・学術施設が集積しており、各機関や団体、地域が連携しながら上野公園一帯を新たな「文化の杜」として世界の文化交流拠点を目指した活動を展開。共通イベント及び文化プログラムの開催や共通入館券の発行などに取組み、年間3000万人の集客を目指した文化事業を実施している。中でも「TOKYO数寄フェス」は、日本を代表するアーティストによる都市型野外アートフェスとして昨年は開催3日間で32万人強の来場があった。今年は、来月10日から19日までの日程で開催される。

 文化庁は、日本文化の魅力について「日本は、諸外国と比べ新旧の文化や自然が残っており、世界に誇れる資産がある。アンコールワットやタージマハルなど単体の文化遺産で比べると比較にならないが、京都の街並みなど全体的なまとまりで見ると魅力はある」と胸をはる。一方で、「日本は情報発信力が弱いのが課題。海外にも通じる普遍性を伝えていくことが必要だ。フランスやイタリアは経済のGDPはそれほど大きくないが、文化は世界のブランドとして一目置かれている。日本文化も世界のブランドとして一目おかれるようになれば」との認識を示し、国際発信力の強化のため来年度予算として20%増の1252億円の概算要求を行った。関係省庁と連携した政策も更に強化していく予定だ。

 少子高齢化に伴う人口減少や、生産効率の伸びの減速による経済の縮小、財政悪化などにより、従来のような経済成長を期待することが困難になる時代において、魅力ある文化を持つことは国際的地位を高めることにも繋がる。世界各国もこぞって「パブリックディプロマシー」に力を入れており、中国や韓国でも近年その対策強化に力を入れ、国際的地位を高めつつある。世界の各研究機関の予測では、日本は2030年以降マイナス成長を続け、2050年までに先進国から転落するかもしれないとする報告書も発表されている。今後、日本においても、戦略的な文化政策・広報文化外交が、国際的地位を高め、経済成長を促す上で大きな機動力となるだろう。
(2017-10-13)

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