特集/コラム

【人物登場】2009-12-18

中国市場との架け橋に 矢野 広一さん(TLホールディングス社長)

 「日本と中国の市場を結ぶ架け橋に」――そのサポートビジネスを担う主力グループ会社は、その名もズバリ「CJ−LINX」。Cは中国、Jは日本を意味する。 その持ち株会社がTLホールディングス。グループ会社まで、すべての社長を兼任する。 中国との架け橋をめざすCJ−LINXは、09年5月からのスタートで、事業の柱は4つ。その第一は、複合的なB to Bサービスプラットホーム「渋谷網」をはじめとするビジネス関連事業、次いで先ごろスタートしたエコロジー関連、そして後方から支えるシステム関連およびファイナンスの関連事業。いずれも、現地企業とのパートナーシップで、専門子会社なども多様に組織して、総合的な取り組みが進む。

中国市場との架け橋に 矢野 広一さん(TLホールディングス社長)

 先行しているのは、ファッションとエコの分野。中でも、今年9月に立ち上げた「渋谷網」。アパレルや雑貨、化粧品、健康食品などのビジネスマッチングから決済、国際物流支援まで、日本企業が中国で商取引を行う上で必要な一連のサービスを「すべて提供する」構えだ。
 次いで、10月には上海の「毎日通販」と、日本製品の中国向けEC(電子商取引)事業で業務提携。将来的には、リアル店舗とネット販売をリンクした現地での効果的なビジネスも、視野に入れている。
 11月には、日本のファッショントレンドを中国へと発信する新ウェブサイト「渋谷前線」をオープン。年明けには、情報だけでなく、中国での商品展開をスムーズにするため、ギャザリング(共同購入)方式を導入。また、渋谷・裏原宿などのファッション地図が登場、クリックすると店がアップされ、これに商品を付けて、中国への販売を促進する。さらには、ロットがまとまれば、中国生産、日中両国での販売も展望したいところ。
 決済では銀聯カードと組み合わせるなど、サービス内容も大拡充の方向だ。
  
 一方、環境事業では、香港に設立したオープンエコ(矢野広一社長)の上海工場で、有機肥料メーカー向け酵素の製造が11月から始まり、大量納品契約も確定。有機肥料に不可欠な酵素の供給を通じて、中国での「食の安全・安心」の促進に貢献するとともに、多様で本格的な環境事業へと発展させる。「中国の国家戦略は、今や環境」で、土壌改善、風力発電なども視野に。
 「アメリカが投資するキーワードは、世界共通でコンシューマー、モバイル、エコロジーの3つ」。この3つとも、すでに実践しており、その路線に乗っているという自負心がある。

 「氏素性は、コンピューターのプラットホーム事業」であり、「いま急速に、サービスで収益を上げている」という。
 強みは「コンピューターのソフトを開発する力」。そして「2000年から中国に本格進出、土着してキチッとやってきたので、北京にも上海にもユーザーが多い」。中国に4000社といわれる日系企業との強い結びつきが、「中国との架け橋」のバックボーンとなっている。
「遅すぎず、早すぎず」も経営哲学のひとつ。「日本には経験値がある」として、「失敗経験に学ぶ」姿勢は真剣そのもの。さらに、「コンピューター、情報システムではプロだが、不足しているのは渋谷・原宿の人たちのファッションセンス」として、どんな小さな相手でも訪ね、学ぶ。

 1962年1月生まれの47歳。商社マンの父親の任地、オーストラリアで生まれ、9歳まで育つ。帰国後は兵庫県西宮市で高校卒業まで。成蹊大学経済学部卒後、1985年に日本アイ・ビー・エム入社。1995年、日本オラクルに移り、ミラクル・リナックス社長などを経て2001年11月、ターボナリックスジャパン社長。2002年5月、アメリカ本社を「逆買収して“ジャパン”がとれた」。
2005年9月には大証ヘラクレス市場に上場。2009年5月、持ち株会社制への移行に伴い、TLホールディングス社長に。人生哲学は「フレキシビリティ」とし、「オバマ大統領はチェンジだが、変化より進化のほうがいい」。趣味の料理は和・洋・中と、何でもござれ。もうひとつはキャンプ。世田谷区の下馬に、妻と三人娘。

特集/コラム一覧