特集/コラム

【人物登場】2010-04-06

街と一体となって活性化 穐山 壮志さん(表参道ヒルズ館長)

 2代目館長に着任して1年有余。「街の活性化なくして、ヒルズの活性化なし」を実感、ようやくイメージが出来てきた、として“街と一体となった館の運営“に拍車がかかる。

街と一体となって活性化 穐山 壮志さん(表参道ヒルズ館長)

 そのひとつが、地下3階のスペースO(オー)や大階段を活用したイベント開催への取り組み。
 もともと表参道ヒルズは、旧同潤会アパートの強いインパクトを引き継ぎ、新しい表参道の顔として2006年2月に開業した。情報発信力の強い商業施設として定評があるのだが、昨年12月から今年初まで、取り組んだイルミネーション事業の成功で、「街と一体となって仕掛けると、効果が大きい」と、改めて痛感。 
 2009年度の上期は、リーマンショックの影響もあって、売り上げはダウン。9月は持ち直したものの、10〜11月も再び後退。しかし、12月〜1月と2ケタ増を達成、前年のリニューアル効果も出て、下期での回復基調を確実にしてきた。
加えて、「この街には、一体となって取り組む気運がある」というのも、心強い。とはいえ、従来は、持ち込まれた企画を、そのまま実施してきた。
だが、今後は、その企画といかに連動し、客の目線でアジャストしていくか、担当者もキチンと配置して、表参道ヒルズの強みを、さらに強くしていく。

 街と一体となった運営では、商店街振興組合原宿表参道欅会を抜きに、語ることはできない。欅会には当初、執行理事として出ていたが、昨年7月の総会で副理事長に選ばれた。ここには、原宿表参道エリアでキチンと生活し、営業の基盤を築いてきた先輩たちも多い。自分はサラリーマンとして、いつまで、どこまでやれるのか。そうした“温度差”を作らないためにも、よほど力を入れて頑張らないと認めてもらえない。
 そうした思いもあって、欅会のどの取り組みにも毎回、圧倒的な人員を送り込み、文字通りのマンパワーで先頭に立つ。
 同じ原宿表参道エリアには、ラフォーレ原宿という、森ビルの大先輩がいる。 30年も前から、ファッションで世界から人を集め、街の発展にも大きく貢献してきた。それに比べれば、表参道ヒルズの”商業色“は、まだ出ていない。これからだ、という思いは強い。
 新しいモデルをつくり、街の魅力をいかに高めるかは、いわば森ビルのDNA。イベントの告知強化も、みんなの意識になってきた。アイデアをしっかり出し、発信の頻度を上げ、さらに支持される施設をめざす。

 1968年6月東京・練馬生まれ。1991年3月慶応大経済学部卒。同年4月森ビル入社。1997年8月企画開発本部調査企画室商業企画グループの新設に伴い配属。六本木ヒルズプロジェクトチームで、商業ゾーンのマスタープラン構築、アークヒルズ10周年の商業ゾーン大規模リニューアル、ヴィーナスフォート開業準備など、森ビルが手がける都心型商業施設の開発に携わる。商業施設事業部六本木ヒルズ商業統括室副室長を経て2008年11月、表参道ヒルズの2代目館長に就任。
 モットーは「誠心誠意」。流通人として、「趣味は深掘りせず、間口を広く」、と常に心がけている。港区白金台に妻と、30歳代後半になってもうけた一女と。白金は、駅名では“しろかね”だが、住所表示では“しろがね”だから、「シロガネーゼというのは正しい」という。

特集/コラム一覧