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【人物登場】2010-07-08

英語落語で国際コミュニケーション 大島 希巳江さん(文京学院大学准教授、教育学博士、英語落語家)

 異文化コミュニケーション論の研究に役立つと思って始めた英語落語に磨きがかかり、相乗効果がさらにアップしている。

英語落語で国際コミュニケーション 大島 希巳江さん(文京学院大学准教授、教育学博士、英語落語家)

 若い外国人宿泊客が多い「サクラホテル幡ヶ谷」(渋谷区幡多ヶ谷1丁目)の併設カフェ1周年記念で、7月3日に行われた英語落語の集いには、外人客に加えて、日本人の老若男女の多さが目立ち、超満員。英語落語の愛好家はもちろん、古典落語で真打ちをめざす“落語家の卵”も駆けつけるなど、幅の広がりを示した。
 一般的にこのところ、「日本の古典落語を知らずに、英語落語から入る人も増えてきている」という。
 この日の出し物は、古典落語に材を得た「動物園」。 続いて、扇子を使った箸の使い方、蕎麦の食べ方、手ぬぐいによる日本人の所作など「落語入門基礎講座」。
 圧巻は「飛び入り口演」の募集。外国の若者が次々に手を挙げ、日本に来て面くらったこと、失敗談など″異文化体験“を、オチがつこうが、つくまいが、表情豊かに元気よく表現。
 「飛び入りなど、日本人相手の時には、求めませんよ」。見事に使い分けている。とはいえ、「日本でも高校生は、どんどん上がってきますよ」。

 「日本人はよく、つまらないと言われる。でも、日本オリジナルで、落語という面白いものがあるではないか。これで世界の人に理解してもらおう」と思ったのがキッケケ。
 研究目的があるとはいえ、1997年大学院生の時、オクラホマでの初演は、「勇気がいった。最初は我ながらひどかったし、若くてバカだったからやれた」と振り返る。
 いま、持ちネタは20〜30。古典ものが多い。日本での口演は、年間約80回。高校・大学などを中心に、外資系企業やホテルなどからも声がかかる。テレビ・ラジオの出演も多い。
 夏休みには毎年、3〜4週間、25回ほどの海外公演ツアーをこなす。これまでの実績は、20ヵ国近い。「すごく笑うのは、アメリカとフィリピン。親日家の多いマレーシアとオーストラリアは、すごく人が集まる。追加公演しても、追いつかないくらい」と、しっかり分析している。
 昨今はプロデュースや司会なども手掛ける。

 1970年東京生まれ。渋谷教育学園・幕張高校在学中に、交換留学生として渡米、1993年コロラド州立大ボルドー校を卒業して帰国。1996年青山学院大大学院国際コミュニケーション学修士、2002年国際基督教大大学院で教育学(社会言語学)博士。
 現在、文京学院大学外国語学部准教授。「英語落語」の授業も、クラブ活動もあるユニークな大学だが、「みんな英語で小噺くらいはできないと」と、“厳しさ”を強調。専門は、異文化コミュニケーション・社会言語学・ユーモア学。
 コミュニケーション全般、および英語教育における“笑いとユーモアの効果”、企業の営業成績とユーモアの関連性など幅広く研究し、論文・著書多数。 
 「海外旅行や英語落語は、もう趣味とはいえないし、少林寺拳法かな」。ちなみに、結婚相手は「普通の人ですよ」。

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