特集/コラム

【人物登場】2010-08-07

「原宿はちみつ」で地域貢献・社会貢献へ 小澤 俊文さん(コロンバン社長)

 原宿表参道という、大都会での養蜂事業の開始がインパクトを与え、「原宿はちみつ」入りのプリンの発売が話題を呼んでいる。

「原宿はちみつ」で地域貢献・社会貢献へ 小澤 俊文さん(コロンバン社長)

 今年5月から、コロンバン原宿本店の屋上に4群の巣箱を置いた養蜂事業の開始も、実は「いきなりミツバチではなかった」という。
 日本の洋菓子界の先達として知られるコロンバンの創業は、1924年(大正13年)。昨年は、創業85周年を迎える中で社会貢献の企業理念をより鮮明にし、ペットボトルのキャップを集めて世界の子供たちにワクチンを贈る運動や、名物の「原宿ロール」が1本売れるごとに1円を寄付するとか、「体力に見合った社会貢献」に取り組んできた。
 「仕事が社会貢献に直結している」ことが実感でき、何よりも「長く続けられる」ところに意味がある。
 そして、「ほかに何かないか」となったとき、ミツバチに思い至った。何年か前から、北半球を中心に、ミツバチがいなくなるという“事件”が頻発し、このままでは花粉の媒介にも支障をきたし、生態系や食の安全も懸念される。ハチミツは、洋菓子の原料ではないか。日本のハチミツ自給率は、わずか6・4%。
 次は養蜂だ、となっていったのは自然の流れだが、いかんせん全員が素人。はて、どうしたものか。その時、小澤社長が銀行の中目黒支店長だった時の取引先に、養蜂の専門家がいたことが判明。しかも、原宿在住で、5年ほど前まで、「原宿で実際にミツバチを飼育していた」というではないか。

 その人、ミツバチ産業(目黒区)の社長として、今も健在の藤井新三氏との出会いが、決定打となって、有志による「みつばち委員会」の活動は、加速していった。
 ミツバチや巣箱は、藤井氏の実家である福岡の藤井養蜂場から導入、「まさに手取り、足取り」の指導の甲斐あって、第1回目の採密に成功したのが5月21日。以来、7月27日で、6回を数え、「あと、もう1、2回で今シーズンは終わり」。猛暑と越冬でのノウハウも蓄積しながら、来春のシーズンインを迎える。
 「養蜂で社員の意識は、確実に変わった」「社員の子供が見学に来るし、何か、“空気”を感じる」という。
7月21日付で、6角形のハチの巣をデザイン化した図形と「原宿はちみつ」を組み合わせた複合商標の登録を申請、8月8日からは、「はちみつ入りプリン」を、限定発売。
 「養蜂の歴史がある原宿を復活させたい」「ファッションの中心地であると同時に、ハチミツで新しい発信をしていきたい」と強調。そうすれば、「伝統と文化を踏まえた、厚みのある原宿をアピールできる」。
 実は、代々木公園や明治神宮、新宿御苑といった「緑」に近い原宿は、養蜂にとって好立地なのだ。
 従って、「養蜂事業で地域貢献」が、当面の大きな目標である。

 1953年11月生まれ、神奈川県出身。法政大学卒業後、1976年三和銀行(現東京三菱UFJ銀行)に入行、中目黒、亀戸支店長など歴任。2002年神奈川公務法人部長、2004年参与(東京)。
 2005年11月コロンバンに入り、監査役。常務を経て2006年11月社長就任という経歴。
 哲学は「社会貢献」。企業の存在は社会によって規定され、生かされているのであって、「社会貢献できない企業は、生き残れない」と言い切る。そして、趣味は「仕事」。正確には、「仕事を通しての社会貢献」というべきかも知れない。

特集/コラム一覧