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【人物登場】2010-10-14

「生活価値の拡充」「見立てのマナザシ」に広がる共感 遠山 正道さん(スマイルズ社長)

 「現代のセレクトリサイクルショップ」を掲げる「PASS THE BATON」(パスザバトン)のコンセプトが、目下の景況下で、あらためて注目されている。この新業態のスタートは昨年の9月、千代田区丸の内から。丸の内ブリックスクエアの中庭に面し、アンティーク品に囲まれ、現代の盆栽も扱う。そして2号店は今春4月、表参道ヒルズに。「生活価値の拡充」を企業理念として、“プロパー越え”は、ワールドワイドに広がる。

「生活価値の拡充」「見立てのマナザシ」に広がる共感 遠山 正道さん(スマイルズ社長)

 丸の内の1号店オープンから、1年余。「当初思っていた数倍の広がり、期待以上」と振り返る。「単なるリサイクルショップとも違う幅の広さ」「今までにない新しい業態」が、認知されてきた。
 「PASS THE BATON 」には、RecycleRemakeRelightと、3つの側面がある。まず、高級品や低価格品を販売する従来型のリサイクルショップではなく、「思い出が詰まった品物や、好きだけど使わない、でも捨てるのは惜しい」といった物を、「大切に使ってくれる次の人へ、ストーリーを添えて販売」していく。いわば“New Recycle”だ。
 次いで、B品にデザインを加え、新しい価値観を生み出すRemake。「幅がとても広く、まだまだ広がる」。さらには、シーズンを過ぎた洋服や、ちょっとしたキズだけのブランドに、もう一度光を当てるRelight。
 当初は、NIGO、伊藤啓子、隈研吾、栗野宏文、浅野忠信、JUJU、為末大、クリス智子といった著名人に率先して出してもらい、抵抗感を薄めながら、表参道ヒルズ店には「Pass Counter」を設け、一般客からの出品を受け付けている。すべて委託。売れたら折半、売れなければ、3ヵ月後の月末に受け取りにきてもらう。出品者にはすべて、顔写真とプロファイルを明示してもらう。それが責任ある発言や行動を促す。

 表参道店に併設したGALLERYの動きは象徴的。世界中から「PASS THE BATON」ならではの視点で選んだアーティスト、クリエイターによるエキシビションやトークショー、ライブ、スペシャルイベントなどが行われ、ここから新たなカルチャーシーンを発信している。
 いわば「見立てのマナザシ」に共感の輪が広がり、GALLERY10回目の節目の企画(10月22日〜11月14日)は、「エルメス」とのコラボ。思い出の詰まった、愛着ある1枚のカレ(スカーフ)を、エルメス独自の“ディップ・ダイ”手法で染め上げ、新しい息吹と価値観を吹き込む。
 青木貴子、Angelababy、安藤優子、井亀真紀、押田比呂美、片山正道、金子夏子、木村多江、桐島かれん、栗野宏文、島津由行、真行寺君枝、祐真朋樹、田波涼子、辻井いつ子、鶴田真由美、出口由美、寺島しのぶ、富岡佳子、中山ダイスケ、夏木マリ、野宮真貴、VERBAL、吉川純といった人たちが参加。
 年明けには「アディダス」とのコラボが待っている。
 「暖め中の構想」には、WEBを駆使して自動車、別荘、畑など「倉庫に入れておかなくてもいいマッチング」も含まれており、「やることが山積している」という。

 とおやま・まさみち 196年東京生まれ、慶応大学商学部卒。1985年三菱商事に入社、国内建設部、機械情報化推進室などに勤務。1997年日本ケンタッキーフライドチキンに出向、同社の子会社から「Soup Stock Tokyo」の1号店を、お台場のヴィーナスフォートに出店。このビジネスモデルを持って三菱商事に戻り、2000年同社初の社内ベンチャー企業「スマイルズ」を立ち上げ、社長就任。2008年MBOでスマイルズの株式100%を取得して独立。
 「Soup Stock Tokyo」は今、東日本・東海地域に54店舗を展開中。この間、ネクタイの専門ブランド「giraffe」(ジラフ)を立ち上げ、美術館を身近に感じてもらう新たな試み「オープンミュージアムプロジェクト」のメンバーとしても活動中だ。
 2009年9月には、新コンセプトのリサイクルショップ「PASS THE BATON」を立ち上げ、スマイルズの事業は、いま3つ。企業理念は「生活価値の拡充」。「世の中を良くすることに加担するのは喜びであり、そうした意識がないと、人々の共感、協力は得られない」が持論。
 一方、若くして絵画に親しみ、33歳からニューヨーク、赤坂、青山などで個展を開催するなど、アーティストとしても活躍。趣味の域をはるかに超えている。トライアスロンで鍛えたスポーツマンでもある。

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