特集/コラム

【人物登場】2010-11-08

ダンスの融合でメルヘンの世界に”化学反応”を 新上裕也さん(ダンサー、ダンス振り付け・演出家)

 一口に“ダンス”といっても、幅広い。バレエ、ヒップホップ、ジャズダンス、コンテンポラリー、トリッキング・・・。いずれも「身体を使った表現活動」であり、「いろんな表現者の集まり」で、来春2月には新たな試みの公演が幕を開ける。

ダンスの融合でメルヘンの世界に”化学反応”を 新上裕也さん(ダンサー、ダンス振り付け・演出家)

 題して、「GQ Gentleman Quality ・・紳士の品格〜Shocolat ヘンゼルとグレーテルより〜」。略して「GQ」という。来年2月10日(木)〜13日(日)の4日間、池袋・サンシャイン劇場での全6回公演を、演出・振り付け担当として担う。そして、自身も舞台に立つ。
 題材は、グリム童話「ヘンゼルとグレーテル」に求めた。それを「あえて男だけで表現していきたい」という。「不器用でまっすぐな男の生き様」を描き、「ダンサーという特殊な分野で生きてきた自分たちの生き様」ともを重ね合わせる。
 実は昨年、1回目を上演しており、今回が初演ではない。だが、「こうしたい、ああしたい」という思いが募って、2回目の今回は「新たなGQという、事実上の新作」を「1時間半、休憩なし」で通す。
 とはいえ、「複雑ではなく、シンプルな中に大人から子供まで、誰でもしっかり楽しんでもらえるエンタテインメント性のあるものに」と、新たな意欲を燃やす。

 演出をするには、キャスティングが極めて重要な意味を持つ。だが、確かにキャストは選ぶのだが、「スタッフとも、よく相談しながら」と慎重。当初は30人の出演予定だったが、“子役”その他の事情にも配慮しながら、どうやら大人23人プラス子役5人となりそうだ。
 「世界で闘ってきたダンサーにたくさん出てもらえて、幸せ」と強調する。そうしたダンサーが入ったとき、「新しいメルヘンの“化学反応”がおき、その世界を楽しんでもらえる」。
 一例を挙げれば、バレエ界からは、元国立ロシアバレエ団プリンシパルで、世界3大バレエコンクールのひとつ「ジャクソン国際バレエコンクール」で金賞受賞の佐々木大をはじめ、海外経験豊富で、今の日本を代表するダンサーがズラリと並ぶ。 中国歌舞団出身の葵暁強、世界大会1位の経歴を持つ大場進一・・・。
 ほかにも、個性的な8人のジャズダンサーと4人のコンテンポラリーダンサーが競う。ロサンゼルス生まれで、昨年末に帰国したばかりの16歳のバイリンガル、JOEY BENI(日本名=七類丞威)も「空手とトリッキング」で異彩を放つ。ベテランたちとのシナジーで“化学反応”が期待されている若手の一人だ。

 しんじょう・ゆうや 1967年東京生まれ。高校卒業後、2年ほど“社会人”を経験した後、21歳からジャズダンス、24歳からバレエに取り組む。「もともとウエストサイドストーリーとか、舞台を見るのが好きだった」のだが、浦安に住んで、「ディズニーランドのダンサーが人々を楽しくさせているのを見て、ああいうエンタテインメントをやってみたいと思った」のがキッカケ。
 スタジオに通い、ツテをたどってオーディションを受けたりしているうちに、23歳から舞台に。「もし駄目だったら、という不安はなく、次も出たい、見せていきたいと、毎回、欲が出てきてきた」という。
 その連続で今日まで到達。 振り付けは20台半ばから、演出は30代になってから取り組み、今も現役のダンサーとして舞台に立ち、活動の幅をさらに広げている。モットーは「信念を持ってやれば、必ず実る」。趣味は「映画をみること。本を読むこと」。たとえばグリム童話とか、どちらかといえば、「楽なもの」を好む。

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