特集/コラム

【コラム】2005-08-01

子どもの遊び場がない!!

子どもを巡る事件がやまない。そういう事件を耳にするたび「子どもの居場所」について考える。

子どもの遊び場がない!!

 子どもにとって、家庭は与えられた居場所である。それと同時に、子どもは遊びの中で、自分の居場所を作っていくものだと思う。でも今、子どもたちが自分で作っていける居場所があるのだろうか。テレビやゲームの前では、本当の居場所は作れない。与えられたものの中で、与えられたことをするばかりだからだ。

 子どもは本来、太陽の下の「遊び」の中で自分の居場所を作っていくのだと思う。どろんこになってかけまわる、新しい遊びを創造する、仲間と競争したり、ケンカしたりする。そういう中で、知恵をつけ、体と感覚を鍛えていくのが子どもにとって自然なことだ。

 しかし、大都市に限っていえば、1970年代と比較して、遊び場(昔の子どもが遊んでいた空き地などの空間)は半減している。公園も整理され、危険防止のために禁止事項ばかりが増えている。代々木公園などがいい例である。

 七月十七日、『渋谷はるのおがわプレーパーク』が一周年を迎えた。地元のお母さんたちの「渋谷の子どもに本当の遊び場を」という願いから生まれた、渋谷区初の常設プレーパークだ。「自分の責任で自由に遊ぶ」を基本に、子どもが自由な想像力で遊べる場所を大人が作り、守っている。

 このように、地域の住民が主体となって運営していく「冒険遊び場」が全国に広がりつつある。しかしそれを実現、維持していくためには、場所の確保や安全面の配慮、近隣住民の理解など、クリアしなければならない問題は多い。また、そういう場所ができたとしても、そこに歩いて行ける距離に住んでいる子どもがほんの一握りでは、遊び場として定着しない。こういった問題を、住民まかせにしてしまっていいのだろうか。

 特定の地域の子どもだけが恩恵を受けるのではなく、どんな子どもにもこういう場所を与えるために、今、本当に動かなければならないのは、行政だ。

 住民の取り組みに後のりするばかりではなく、行政主体のきちんとした「子どもの遊び場計画」を立てることが求められる。公園のない地区は民用地を借り上げたり、空き地を買い取ったりすることで、場所を確保できる。また、面積や施設の充実のみに偏った公園計画を見直し、子どもと親の意見が反映されるような公園づくりを進めるべきである。

 子どもがいろいろな意味で危機に晒されているような、今の時代だからこそ、子どもの遊びの価値が問われている。子どもを大切にしない国は、疲弊していくことを忘れないで欲しい。(野津山)

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