特集/コラム

【エリア特集】2006-05-29

「ラオスに絵本を届ける会」

半数以上が小学校に通うことができず、識字率も6割足らずというラオスの子どもたちのため、渋谷区役所では職員の有志が自主サークルを立ち上げ、日本の絵本をラオス語に翻訳し贈る活動を過去1年半にわたって続けている。月1回の頻度で集まり、手作業で絵本にラオス語のシールを切り貼りする彼らの活動について話を聞いた。

「ラオスに絵本を届ける会」

「ぐりとぐら」をラオス語仕様に

1975年12月にようやく内戦が終わり統一国家として樹立されたラオス人民民主共和国だが、その後敷かれた社会主義体制は機能せず、とりわけ教育環境整備の遅れが目立っている。学校数、教員数ともに地方では全く足りないといわれており、国民の側も子どもの教育よりは困窮する日々の生活を優先せざるを得ないのが実情だ。この結果ラオスでの小学校の就学率は50%、修了(卒業)率41%。識字率は60%という低水準にとどまっている。

さらに国内には出版社が少ないことから、年間の出版物は一般書、児童書合わせ約60点が出されるに過ぎず、学校に通えない子どもたちが自宅で読み書きを習うこともできない悪循環を抱えている。「ラオスに絵本を送る会」が生まれたのは、区役所職員数人が組合の旅行でラオスを訪れ、こうした窮状を目の当たりにしたのがきっかけだ。帰国後に他の職員にも呼びかけてサークルを立ち上げ、1年半後の今も活動を続けている。

活動の内容は、月1回程度の頻度で5〜10人のメンバーが集まり、日本のロングセラー絵本の文章をラオス語に翻訳したシールを貼り付けるというもの。幾人かのメンバーはラオス語にも興味を持つようになっており、現在勉強中だそうだが、現状ラオス語の翻訳ができる専門家はいない。従って同じ趣旨の活動を行っている社団法人・シャンティ国際ボランティア協会から提供してもらった字幕シールを貼り付け、毎月ラオス語仕様の絵本を作っている。これまでの活動で手直しし、ラオスに送り届けた絵本は約100冊になるそうだ。

翻訳する絵本はあらかじめ60タイトルに絞りこんでおり、「スイミー」、「ぐりとぐら」など御馴染みの作品ばかり。だが、当初は庁内への呼びかけだけで調達できたこれら作品も、当然ながら一度提供してくれた人から同じものを2度もらうことはできず、最近ではなかなか集められなくなっているそうだ。

そういった事情もあり、現在は区職員に限定することなく、広く渋谷区民、さらにそれ以外の一般の人からの絵本提供もお願いしている。この全60タイトルの中に家庭で読まれなくなったものがあれば、ぜひ送って欲しいとのことだ。

〒150-8010 東京都渋谷区宇田川町1-1 渋谷区職員労働組合内「ラオスに絵本を送る会」宛/(電話=03-5467-1105=担当・大森)

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