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【エリア特集】2006-05-26

プロの美容師さんがお家に来てくれる出張カット ニューヨーク美容師事情

公式に発表されているだけでも5万9千人の日本人が住んでいるニューヨーク、さまざまな職業の人がいるが、意外にも多いのが美容師だ。

プロの美容師さんがお家に来てくれる出張カット ニューヨーク美容師事情

ニューヨークは日本人美容師でいっぱい?

公式に発表されているだけでも5万9千人の日本人が住んでいるニューヨーク、さまざまな職業の人がいるが、意外にも多いのが美容師だ。マンハッタンには日系のサロンも多く、米系のサロンで活躍している美容師も沢山いる。サロン以外でも、日本ではあまりなじみがないが、プロの美容師がアルバイトとしてプライベートでカットを行う出張カットも盛んだ。日系のグローサリーストアの掲示板や、インターネットの掲示板などに広告が出ている。

 

サービスを受けたらチップを渡すのが当たり前のアメリカではサロンでカット、シャンプー、カラーリングを別々の人にやって貰った場合、各々にチップを払わなければならない。金額やタイミングなど慣れない人には結構難しいものだ。出張カットはそういったことが苦手な人、小さいお子さんが居て家を空けられないお母さん、実際にサロンに行くより割安なので、学生や若い人の間で人気のようだ。環境の整ったサロンでしか受けられないサービスもあるが、自宅で気楽にプロのカットが受けられるのが良いと利用者は言う。イベントの前に家族一緒にカットしてもらったり、友達何人かで集まってカットしてもらうのも楽しい。サロンでは聴けないセレブ顧客の裏話などが聞けるのも出張カットならではの楽しみだそうだ。  

出張ヘアカットをしているTさんはミッドタウンの某有名ヘアサロンでアシスタントをしている。アシスタントと言っても、日本ではスタイリストとして自分の顧客を持っていたので腕は確かだ。撮影の仕事に携わりたくてニューヨークに来たという。多くの日本人美容師と同様、彼がこちらに来てまず驚いたのは、ブローの技術の高さだ。細くてはりのない髪、頑固なくせ毛もサラサラのストレートにブローできなくては仕事にならない。とにかくストレートな仕上がりを希望するお客が多いのだ。逆にパーマは少ないとのこと。また、日本のように、流行のスタイルというのも特に存在しないそうだ。それだけに、それぞれ自分のスタイルにこだわりがあり、細かいオーダーをしてくる人も少なくない。しかし、仕上がりが気に入れば、はっきりと言ってくれるし、チップにもそれが表れるので、やりがいがあると言う。

            

ハサミと技術を手にニューヨークに渡ってくる美容師は、一見板前に似ている。しかし、板前(主に寿司シェフ)が日本人独特の職業ということで、ビザやグリーンカードを得やすいのに対し、美容師はその他の職業同様、ビザやグリーンカード所得の道は険しい。なかにはステイタスを確保するために、学校に籍を置き、学費を払いながら働いている人もいるという。それでも、世界に通用する美容師になりたい、刺激のある街で仕事をしているということが彼らに自負と充実感を与えているようだ。実際、彼らのカットの技術や、接客の丁寧さはアメリカ人にも定評のあるところで、自分のヘアスタイリストは日本人だと誇らし気に言う人も多い。

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