特集/コラム
社会事業大学跡地計画で
住民に広く説明を
大規模留置場建設で表面化した社事大跡地の基盤整備事業説明会が開かれた。地域からの参加者は20数人。数えてもいないが、都や民間建設会社の出席者が多いぐらいであった。私たちも知ったのは、たまたま5月9日の中学校からの案内から。説明会の3日前であった。
正々堂々と主張を
この計画は、01年10月、大手紙の「原宿駅近くに大規模留置場」「東京都が計画」との報道から紛糾。地元で反対区民の会が結成され6万人の署名を集める大規模な住民運動までに発展した。
3年あまりにわたり展開された住民運動であったが、04年11月、東京都の考え方を聞き、基本的に了承。住民側の要望を提案、建設反対から施設内容の論議に移った。留置場の300人という規模についても積極的ではないにしろ受け入れた。 これに伴い反対区民の会は発展的に解消、交渉窓口となる連絡調整会議に移行。それから2年近くが経過した。地域住民としては「なぜ中学校の隣に留置場なのか」「なぜ原宿なのか」など根本的な命題はふせたまま了承した格好だが、どういった施設ができるのか、重大な関心を持っているのは当然のことだ。
「知る権利」と「個人情報保護法」。個人情報を保護するということを名目に施行された同法だが、会社には相変わらずどこから手に入れたか知らないが、営業の電話が私個人宛てに頻繁にかかってくる一方、火災の出火原因が個人情報保護法で明かせないなどの話が飛び込んできた。個人の情報を保護するという本来の目的を逸脱、安易な情報操作が行われようとしていないか。国民の「知る権利」との整合性はどうなるのか。だれが公開できない個人情報かどうかを取捨選別、保護しようというのか。国家の主権は国民にあるのではないのか。
東京都は、道路・緑道の建設とはいうものの、こうした一連の経緯があることから広く地域住民に告知する義務があるのは確か。過去のいきさつから紛糾を怖れる気持ちはあるのだろうが、逆に正々堂々と多くの住人に参加してもらい、施設の必要性などをあらためて主張したらどうか。20数人しか出席していない住民説明会はフエアではない。質問のなかで参加者から「どういう形で告知したのか。この問題には過去、PTA代表として取り組んできたが、今回は知人から連絡があり、知った」との意見が出ていた。過去の経緯があり5年近くの時間を要した案件だけに今後は広く開かれた行政、民間建設業者の対応を強く求めたい。