特集/コラム

【おみせ拝見】2006-06-22

「Models IMON」
果てしなく深い鉄道模型の世界

表参道の「Models IMON」(神宮前6)は、東京でも珍しい鉄道模型の専門店。オーナーはビル管理の本業の傍ら、昔から鉄道模型の世界では屈指のコレクターとして知られていた。だが趣味が昂じた末8年前、遂に自分自身の模型メーカーを立ち上げ、さらに自分のビルの中に専門店まで開いてしまったというマニアの星だ。

「Models IMON」 果てしなく深い鉄道模型の世界


1/87スケールが日本鉄道の狭軌感をリアルに再現

 一般にポピュラーな「Nゲージ」が1/150〜1/160であるのに対し、「IMON」の鉄道模型は1/87スケール。同社ではこれを「HOj」と呼んでいる。Nゲージがサイズ小さめで材質もプラスチックなのに対し、「HOj」は真鍮製で、質感は抜群にリアルだ。

しかし、日本には従来から「16番」と呼ばれる1/80スケールの真鍮鉄道模型はあった。にもかかわらず、あえて1/87のモデルを(メーカーまで立ち上げて)作ろうとしたのは何故だろうか?そんな素人の疑問に対し、IMONのマネージャーさんは次のように答える。

 

「まず、鉄道模型は本来1/87が国際標準規格とされていて、全世界の多くの鉄道模型がこれに沿っています。『HOスケール』と呼ばれるものですが、うちは日本の鉄道をこの『HOスケール』で作っているんです。だから名称も『HOj』なわけです」

「加えて、日本の鉄道は、広軌なのは新幹線だけ。私たちが普段乗る電車はみんな狭軌、つまり狭い線路の上を走っています」

 

たしかにそんな話を聞いたことはある。

「でも16番では、新幹線も山手線も全部おんなじ線路の上を走ることになってしまいます。それでいいはずがありませんよね。16番では、狭軌はデフォルメしないと狭軌らしく見えないんです。模型で狭軌の感じを出すなら、『HOj』の方が絶対にいいんです」

この解説には、鉄道模型の奥深さを垣間見るような気がして感動を覚えた。しかもよく見ると、IMONの看板商品だという「581/583系【月光】形寝台特急電車」(12両編成・価格は税込で105万円!)は、車両の窓に掛けられたブラインドも、全部閉じられ方がまちまちだ。さらにその窓の中を見れば、車両室内まで実に本物らしく作ってある。もはやこのだわりようには驚くばかりだ。

しかしこれほどまで凝りに凝った膨大な数の模型が、原宿のような場所で売られているのもやや驚きだ。だがマネージャー氏によれば、

「うちはほかに大井町、秋葉原、横浜にも店舗があるんですけど、特に原宿店はマニアじゃない人にも気軽に来て欲しいですね。日本は鉄道王国。それこそカップルで来てもらって、日本の鉄道の世界一豊富なバリエーションを確かめて欲しい。そういう気持ちもあって原宿に店を出しているんです」とのこと。

束の間垣間見た鉄道模型の世界は、想像を超えて深いものだった。



Models IMON
(最寄)JR原宿駅、東京メトロ千代田線明治神宮前駅
(営業時間)平日・土曜12:00〜21:00/日曜・祭日10:00〜19:30
年中無休(元旦営業)
(住所)東京都渋谷区神宮前6-3-9 井門原宿ビル4F
(TEL) 03-3797-0077
(FAX) 03-3797-1101
(e-mail) models@imon.co.jp


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