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【人物登場】2009-11-08

美にも「現場力」つけて 居関 暁昌さん(ベルエポック美容専門学校事務局次長)

 「高校教員の仕事も、やり甲斐はあったが、今は質量ともに日本一の美容専門学校へ」と燃える。当面は11月10日に全国4校の代表が東京・原宿校に集う全国コンテストを成功させ、来年にはトータルビューティ科に「ファッションコース」を新設し、「髪の毛+メイク+服」のシナジー効果で、まさに「トータルビューティそのもの」をめざす。  ベルエポック美容専門学校はいま、東京・原宿のほか、福岡、札幌、そして東京・西葛西の4校。「来年は開校10周年。まだまだ若い専門学校だが、規模的にも、もっと拡大できるし、“現場力”を備えた美のスペシャリスト育成のほか、地域活性化、ファッション業界とのコラボレーションなど、多様なつながりで質の面でも存在感を高めたい」と視野は広い。  

美にも「現場力」つけて 居関 暁昌さん(ベルエポック美容専門学校事務局次長)

 全国から、全コースの代表が集まるコンテストは年1回、11月に東京・原宿校で開催。ポイントは、見た目の美しさもさることながら、「どれだけ満足感を提供できるか」。
 だから、メイクならスキンケアの前のカウンセリングから始まり、「心づかいも“きれい”に加えて」と、いわばコミュニケーション、プレゼンテーションの能力が問われる。これを「現場力」と表現する。
 肩書きは事務局次長だが、こうした全国コンテストの、実質責任者として取り仕切る。学園運営でも、教員であると同時に、学生募集から、教育、そして就職指導に至るまで、まさにオールマイティー、総合プロデューサーといった役どころだ。全4校の実質ナンバー2として、全体の運営を担う。

 原宿に校舎を設けたのは、「原宿が美容とファッションの街だから」。その現場で必要とされる人材を育成するのが狙いである。
「現場力」を養う教育の一環として、2年ほど前から「東京コレクション」に参加。ヘアメイクのアシスタントとして入り、チームでファッションショーをつくりあげる中で、成長をめざすわけで、デザイナーとのコラボは、希望者が参加するとはいえ、トータルビューティ科を中心に、学生たちの人気はけっこう高い。
 学内には、300人収容のホールもあり、普段は学生たちのショーやコンテストなどに使うが、春、秋のシーズンにはプロのショーにも活用される。授業の一環として参加し、舞台メイクとか、プロに混じって腕とサービス精神を磨く。

 「アシスタント・プログラム」には、地元企業とのコラボレーションもある。授業の一環として企業に派遣し、プロの集団の中で仕事をして、現場力をつける。
 このほか、地域との結びつきを重視して、“学内サロン”にも積極的。3年前に「ネイルサロン」からスタートし、リラクゼーション、エステなどにも広がっている。 はじめは手作りのチラシを一軒ずつ配ったり、人集めに苦労した時期もあったが、クチコミで広がり、「ホームページにアップすれば、5分で定員いっぱい」の状況も。ヘアサロンは、さすがにシャンプーブロー程度にとどめているが、全体にリピーターも増え、時には「お断りせざるを得ないことも」。
“奨学金”の意味もあって、いささか「お志」「カンパ」程度はいただくこともある。

 ベルエポック美容専門学校の建物は、正確には4カ所だが、大別すれば、裏原(神宮前3丁目)の、主に美容師の卵たちが学ぶのが第1校舎。JR原宿駅近くの第2校舎(千駄ヶ谷3丁目)にはトータルビューティ科があって、ヘアメイク、ブライダル、メイクアップ、ネイル、エステ、ビューティセラピー、トータルビューティなど多様なコースがあり、ここに来年からファッションコースが加わる。
 学生は「関係業界が多く、将来の就職を見据えて原宿へ」と、ほぼ全国から集まってくる」が、「首都圏自宅から」が4割、あとの4割は下宿、寮など。卒業後も大半が東京に残るだけに、資格試験の受験対策だけでなく、「アフターケア」も重要な仕事だ。
 ちなみに、「第1校舎は約230人のうち男子70%、第2校舎は400人強のうち女子98%」という。

 1970年、茨城県の利根町生まれ。大正大学文学部を卒業して、千葉県の鴨川第一高校の英語教諭に。5年つとめた後、「結婚を機に縁あって」、滋慶学園グループの一翼を占める、東京の学校法人東京生命科学学園に転じた。
 利根町の実家近くに妻、1男、1女と住み、今も原宿まで2時間かけて通勤。高校・大学とバンドを組んで音楽に親しみ、「今は聴く方」とはいえ、これが学生たちとの接触に生きている。

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